煌めいて初恋
白波楓の親友らしい、春田恵が息を切らせながら走って来たのは、昼休みが始まってすぐのことだった。
実際、朝楓との噂を聞いたときはとても驚いた。だが、普段から好奇の目に晒されている昴としては大した感想もなく、別に気にするほどでもないと思った。
だから、恵からことのあらましを聞かされたときは大いに戸惑ってしまった。
「鬼島昴!」
給食後、歯磨きを終えると、ショートカットの快活そうな少女が鬼のような形相で昴の名前を呼びながら走っているのに出くわした。
それが、春田恵だった。
「鬼島昴!やっと見つけた!どこいってたのよ!?」
恵は昴を見つけると、人差し指を突きつけてきた。
「えっ……と、春田?さんだっけ?」
戸惑いを示したが、恵はそれを気にすることなく、昴の肩をガッと掴んだ。
「鬼島くんっ!助けて!楓が……楓が、錦川姫李の下っ端に連れてかれたのっ!錦川姫李、あなたのこと狙ってるから多分、噂のことで楓を呼び出したんだと思う。錦川姫李に目をつけられると、徹底的に潰されちゃう!楓の傷付くようなこと言って、追い詰めて……。そんなことされたら楓、やっと立ち直れたのに、また振り出しに戻っちゃうっ!」
どうしよう!と恵は瞳を潤ませる。