煌めいて初恋

「えっと……」


昴は状況が読めず、とりあえず頭をかいた。


「春田さん、でいいんだよね。あのまず、錦川姫李って誰?で、白波さんが連れてかれたってどういうこと?」


頭を整理させて尋ねると、恵も多少落ち着いたのか、息を整わせ、明瞭に話し出した。


「錦川姫李はここの学校の生徒で、私たちのクラスの隣の子。美人でスタイルも良くて、親がお金持ちで、錦川姫李自身もモデルをやってるくらい。で、鬼島くんが転校してくるなり、鬼島くんを狙ってるっていうことで有名なの。彼女、気が強くて自分が気に入らない子はみんな徹底的に排除しちゃうの。だから今回、楓を呼び出したのは今朝の噂のことで忠告するためだと思う。じゃなきゃ、下っ端を使わない。だから、鬼島くん、楓を助けて!」


恵は頭を下げて来た。


ああ、本当に面倒くさい。
田舎の学校だから、みんなのほほんとしていて争いごととは無縁だろうと高を括っていたが、こういったことはやはり、どこでも起きるのか。


恵の話から、なんとなく何が起こったのか理解はした。昴は苛立つ自分の心を落ち着かせるためにも、恵の肩にぽんと手を乗せた。


「春田さん、とりあえず頭は上げて?事情は分かったけど、なんで俺を呼ぶの?俺が行ったらまた反感を買うんじゃなくて?」
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