煌めいて初恋
6章 近付きたい
「楓っ!」
後になっても自分がどう教室へ戻ったのか思い出せないが、教室へ戻るなり、恵が抱きついてきた。
「大丈夫⁈何もされてない?ごめんね楓、ごめんね!」
恵は目を潤ませながら何度もそう謝ってきた。
「恵っ、何で泣くの。恵のせいじゃないでしょ」
楓が泣きそうな恵の肩を抱き返すと、恵は「でも、だって…」と声を震わせた。
「悪いのは恵じゃないよ!それに私は何もされてないから。ちょっとびっくりはしたけど、全然大丈夫だよ」
安心させるように笑うと、恵は力が抜けたようにへなへなと座り込んだ。
「よかった……ほんとによかった。私、恵に何かあったらって思うとほんとに心臓止まりそうで…!」
「心配しすぎだよ〜。確かに錦川さんたちにはびっくりしたけど、これからきっと呼び出しくらうことは多分ないから」
そう言ったところで予鈴がなった。
「えっ、ちょっと楓どうゆうこと!?…」
抗議の声を上げる恵にひらひらと手を振り、楓は自分の席へついた。
席に着いても、昴とは目が合わせられなかった。
抱く感情に頭が追いついていかなくて、自然的に彼を避けてしまう。
でも、胸の高鳴りは止まらない。
感じる息遣いやちょっとした動きにトクトク、と軽やかな鼓動が揺れる。
恋なのか、これが。
楓はきゅっと胸を掴んだ。