煌めいて初恋
「確かに恋って成就することが全てじゃないしさ、自分が楽しいと思えればそれでいいのかもね。うん、そういう恋の仕方もありだよね」
「めっ、恵はこういう考え方、情けないって思わないの?」
楓は目をぱちくりと瞬かせた。
「思わないよ。だって本当の自分とか気持ちとかを晒すってすごく勇気がいるじゃない?まして告白なんて相手の気持ちを確かめる行為じゃん。怖いって思うのは当然だよ。
確かにね、それに打ち勝てることはすごいと思う。でもやっぱりそれで友情が壊れたりもする。だから絶対告白した方がいいとかそんなことはないと思うよ。まあ、親友としては楓は自分を追い込んじゃうところがあるから、その恋心を大切にして受け入れてほしいとは思うけどね」
「恋心を大切に?」
「うん。恋するとさ、話せただけで嬉しいとか、目が合っただけで今日は記念日だとか舞い上がっちゃうとかそういう楽しい気持ちもあるけど、独り占めしたいとか思う気持ちもあるわけよ。そういう気持ちって戸惑うけど、なんていうか、新しい自分を見た感じがするんだよね。私もそういう新しい楓?を見たいし、一緒に恋バナするのも密かな夢だったし!だから私と一緒に恋、楽しも?」
恵はそう言ってとびきりの笑顔を見せてくれた。
やっぱり親友って心強い。
「恵ぃぃぃぃ!」
思わず飛びつくと、恵はふふっと笑って頭を撫でてくれた。
どんな時も、恵がそばにいてくれる。
それだけのことだけど、それはいつだって私を救ってくれる。
気恥ずかしくてなかなか言えないことを、心の中で強く噛み締めた。