煌めいて初恋
三人で学校を出ると、あたりはすっかりオレンジ色に染まっていた。
「そういえば、今年の夏祭り何やるか知ってる?」
凪がそう聞いてきた。
「え?知らない」
首を傾げると、凪がちょいちょいと手招きしてきた。
「何?」
恵と凪、楓の体が密着する。
「あのな、ここだけの話なんだけど…、今年の目玉はGold Rushらしいぞ」
「えっ?!」
思わず飛び退いた。
「きっ、鬼島くん達が?踊るってこと⁈」
昴、琳、琉矢、智。
異次元レベルの顔面偏差値の4人が頭をよぎった。
この超田舎町の夏祭りにあの4人が出るのか。
想像しただけで、顔がひきつる。
「え、あーそうらしいぞ。じいちゃんがこの前の町内会の集まりでそう聞いたって。ここも過疎化して誰も集まんなくなったから、まぁ話題作りってとこだろ」
「確かに話題にはなるよね……。まぁそれはそれで楽しそうだけど、ここにすごい人が集まるってことだよね?大変だなぁ」
恵が大きくため息をついた。
「いや、それがスペシャルゲストって事で内緒にするんだってよ。だから情報が漏れない限りは大丈夫だろ」
「貝原には情報来てるじゃん!」
恵の鋭いツッコミが飛んだ。
狭い田舎だ。
情報が回ってこない方が不思議といえば不思議な気もする。
鬼島くんは一体どんな風に踊って歌うのだろう。
楽しみだ。けど、どことなく胸がソワソワする。
「まぁそうゆうわけで、今年の夏祭りのコンセプトは『若い力』になったんだとよ。なんか笑えるんだけど」