煌めいて初恋
凪が肩をすくめてみせた。
「若い力ねー……。ゲストがGold Rushなのは分かったけど、若い力ってことは他にも若い年代が色々パフォーマンスしたりするってこと、だよね?」
恵が名探偵の如く、凪にそう指摘した。
すると凪は目を丸くして、すげえと頷いた。
「おっ、流石春田!まさにその通りでさー!実は俺、じいちゃんにパフォーマンスしてくれそうなやつ探すように言われてるんだよ。それで…なんだけど、白波!ちょっと頼まれて欲しいんだけど」
これは、嫌な予感がする。
「夏祭りでヴァイオリン、披露してくれ!」
一瞬何を言われたか理解ができず、反応が遅れた。
「……へっ?」
ヴァイオリンを…人前で……。
唐突に脳裏にあの日の……、消そうとしているあの記憶が蘇る。
喉が、ひゅっと鳴った。
怖い。
助けて…。
足がガクガクして、視界が一気に狭く暗くなっていく。
「まっ!まあまあ!今決めなくてもいいことだよね?楓だってもう予定入ってるかもしれないし、この話は家に帰って検討ってことでもいいよね?」
恵が庇うように目の前に立ちはだかった。
そのおかげでモヤが消え、やっと呼吸ができるようになった。
「おっ、おう…それは全然大丈夫だけど…」