煌めいて初恋

『げっ、超田舎じゃん』


着くなり、昴はげんなりとした表情を隠さなかった。
幾ら事務所から近いとはいえ、コンビニも殆どないし、人気も全く見られない。見渡す限り、山、田んぼ、畑、山……。自然豊かでいいが、動物が今にも出てきそうだった。


『これっ』


げんなりとした昴の頭を祖父がはたいた。
昴の祖父は、なぜかいつも仙人のような格好をしている。説明しようと思うとかなり難しいのだが、かなり奇抜なファッションセンスだと思う。


『それじゃあ…宜しく頼みますね、お義父さん』


『おう』


母はにっこりして頷くと、父と寄り添いながら去って行った。
だが、昴の胸中には、黒いものが渦巻いていた。
そう、昴は知っているのだ。母の秘密を。いつも昴が寝静まる頃、めかしこんで家を出て行き、男と会っているのだ。
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