煌めいて初恋
「入ってないよ。えっと、鬼島くんは入らないの?部活」


なんとか会話を続けようとして聞き返すと、昴は表情を変えずに言った。


「入らないよ。アイドルの仕事あるし。
白波さんはなんで入らないの?」


「わ、私は、ヴァイオリンやってるの。それに専念したくて…」


答えると、昴は微かに目を見開いた。


「ヴァイオリン…?」


「そ、そうだけど」


おかしなことでも言ったかと不安になって、昴の顔を伺うと、彼は何か考え込むような表情をしていた。


「あの…どうかしたの?」


恐る恐る尋ねると、昴はハッとした表情になって、


「なんでもない」


と答えて、口を閉ざしてしまった。
楓はしばらく首を傾げていたが、昴と会話を交わしたことで、彼に対するわだかまりは少しなくなったように感じた。
< 32 / 134 >

この作品をシェア

pagetop