煌めいて初恋
「おっはよ〜」
ガラガラという音と共に教室のドアが開いて、恵が元気よく走ってきた。
「恵!おはよっ!」
楓が立ち上がって恵に駆け寄ると、何故か恵は楓に抱きついた。
「めっ恵?どしたの…?」
戸惑いながら尋ねると、恵は嬉しそうにして話し出した。
「今日ね、すっごいいいことがあったの!朝はね、貝原とたまたま会って、一緒に学校まで行ったの。
朝練ではね、今度の大会のメンバー発表だったんだけど、実は、選ばれて出られることになったの!!」
「えっ!いいなあ!よかったねー」
楓は進展する凪と恵の関係に羨ましさを感じつつも、自分のことのように嬉しかった。
小さい頃から好きな人もおらず、恵とヴァイオリンにしか興味がなかったのだが、やはりお年頃になるとこういうことにも興味が湧くのだった。