煌めいて初恋

「楓は?今日の朝どうだった?」


恵が無邪気な笑顔で問いてくると、楓はチラリと昴の方を向いた。
昴は何事もないかのようにぼうと外を見ていた。
一体何を考えているのだろう。


楓は恵の質問に曖昧に答えながら、昴のことが気になって仕方なかった。


「楓?どうしたの?」


いつもと違う楓の様子に恵は首を傾げていたが、本鈴が鳴り、席へ戻っていった。


その日は何故か昴のことが気になって、楓はずっと上の空だった。


しかしその日の帰り道。
恵の朝のことを聞きながら、いつものように別れると、突然後ろから声を掛けられた。


「白浜さん」


少し低めの声にドキリとして振り向くと、そこには昴が立っていた。

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