煌めいて初恋

「鬼島くん?」


その名を呼ぶと、昴はこちらに向かってきた。


「あの、どうしたの」


戸惑いながら尋ねると、昴は眉ひとつ動かすことなく言った。


「帰り道、こっちだから。
…それに聞きたいことがあったし」


「わ、わたしに聞きたいこと?」


昴は控えめに頷くと、意外なことを聞いてきた。


「白浜さん以外にこの場所でヴァイオリン弾いてる人、いる?」


「へ?」


楓は一瞬何を言われたかわからなくなったが、すぐに思い直して言った。


「いないと思うけど…」


昴は考える仕草をすると、確かめるように問いてきた。


「白浜さん、いつもどこでヴァイオリン弾いてる?」


「え…それは…」

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