煌めいて初恋
その翌日。
楓は憂鬱な気持ちで、教室の窓を見つめた。
昨日、昴に失礼なことをしたことからの罪悪感に苛まれつつ、今日も変わらず向けられる羨望、好奇の目。そしてそんな目を向けられても平然としていられる昴に対しての微かな苛立ち。
そして昨日までの晴天は何処かへ行き、しとしとと弱い雨が降り続いていたこともあって、より楓の心を憂鬱にさせた。
五月病とはこういうことを言うのだろうか。
「はあ…ー」
「楓、ため息また出てるよ」
今日だけで何回も自然と出てくるため息に、恵もまたやれやれと肩を下げた。
「もう、これで何回目?ほんと大丈夫?」
「大丈夫…」
楓はそう言ってまた、ため息を吐いた。
どうして私はこうなのだろう。
このままじゃ何も変わらないというのに。
前に、進めないのに…
「楓、最近ヴァイオリンどう?上手くいってる?」
恵が空気を明るくするように声の調子を上げてそう尋ねて来た。
「うーん……まあまあか、な?」