煌めいて初恋
昴の声が、楓の言葉を遮った。
「え…」
「私なんか、なんて、どうして言うんだよ?俺、白波さんの演奏聴いてすごく心が優しい気持ちになって、ずっと聴いていたいって思った。だから俺、白波さんのこと、すごく尊敬する。なのになんでそんなに自分のことを卑下するんだよ」
そう言う昴の口調は少しだけ、怒っているような気がした。
昴の言うことにはなぜか説得力がある。
尊敬するなんて言われて、お世辞ではないだろうかとは思うけれど、不思議とそれが100%お世辞だとは思えなかった。
「鬼島くん…」
感極まって声が震えた。
少し、視界が滲んでいる。
「白波さんはもっと、自分の演奏に自信持ちなよ。人前で演奏できない理由はわからないけど、それでも君の弾いてる音楽はきっと、俺の心に白波さんの演奏が届いたように、誰かの心にも届いてるから」
そう言う昴は少しだけ照れ臭そうにしていた。
「ありがとう…」
楓は今日一番の笑顔を昴に向けた。
たとえこの言葉が嘘でも。
鬼島くんのこの言葉がとても嬉しい。