煌めいて初恋
「その、爺ちゃんがあんな風に笑うなんて思いもしなくて。普段俺にはなんていうか、すごい無表情で笑うことなく、無口って感じだから」
昴はそう言って苦笑いをした。
「そっそうなの?私に対してはいつも穏やかだからあんまり想像できないや」
無表情の森本のおじいちゃんを想像すると、なんだか笑えてきて、楓は肩を震わせた。
「俺、爺ちゃんに嫌われてるのかもしれないなぁ」
しかし昴はそうぼやいた。
少し、切なげに目をふしませて。
「そんなこと、ないと思うよ。だって森本のおじいちゃん、わしの孫はすごいってよく言ってたから!」
楓は身を乗り出した。
森本のおじいちゃんは、鬼島くんのことが本当は大好きなんだから。
だから、そんなこと言わないでほしい。
いつも、森本のおじいちゃんはこう言う。
『楓ちゃんは可愛いのう。まるで孫を見ている気分じゃよ』
『わたしも森本のおじいちゃん、大好き!あっねえねえ、森本のおじいちゃんの孫ってどんな子なの?』
そう聞くと、森本のおじいちゃんは優しげに目を伏しませる。
『頑張り屋で、すごくいい子だよ。なかなか会えないのは悲しいなぁ』
そう言う森本のおじいちゃんはほんの少し寂しげだけれど。