煌めいて初恋
「森本のおじいちゃんはね、鬼島くんのこと、頑張り屋でいい子って言ってた。きっとなかなか会えなくて寂しかっただけなんだよ」
秘密を教えるように、楓はにっこり笑ってそう言った。
「そう…なのかな…」
昴は顔を上げた。
少し不安そうにしているけれど…
「そうだよ。私が言うんだから間違いない!」
はっきりと言い切ると、昴は嬉しそうに笑った。
「白波さん、貴重な話をありがとう」
昴はそう言うと、立ち上がって森本のおじいちゃんのいる台所へ向かっていった。
「良かった」
楓は小さく呟いて、森本のおじいちゃんに「手伝う」と言っている昴を微笑ましく見つめた。
昴は見た目、大人っぽく見える。
けれど、本当は普通に傷つきもするし、喜びもする。
楓にとって昴は初め、雲の上の存在だったが、今はもう違う。一緒の場所に住んでいて、近くに感じられる人になったのだ。
楓はそのことが少し嬉しく思えて、昴ともっと話をしたいと思ったのだった。