煌めいて初恋
森本のおじいちゃん家に着くと、美味しそうな炭の匂いがした。
「こんちはー!」
広い庭のど真ん中まで、琉矢の大声が響いた。
「いらっしゃい」
森本のおじいちゃんは優しげ目を細めて三人を迎え入れていた。
「楓ちゃんもご苦労さま。わざわざ昴を案内してくれて」
「いいよー、気にしないで」
楓はその笑顔に釣られてにっこり笑って答えた。
が、そんな楓と森本のおじいちゃんの横で、昴達は顔を突き合わせていた。
「おい昴。あれのどこが怖いんだよ?」
「ああ、いやその……今日色々あって」
昴はチラリとこちらを見た。
「今あえて何があったか聞かないけど、まぁね」
琳がクスクスと笑う。
「琳、お前こえーぞ」
長身の智が喋った。
その声は意外に低い。
「まぁ後で何があったか教えろよな!微かに俺、あのじいちゃんのこと気にしてたから」
「ああ」
昴が頷いた。
「おい、何を話しているんだ?」
静かに四人の話に聞き入っていた楓も含め、突然の森本のおじいちゃんの声に肩を震わせた。
「あ、いやなんでも」
昴達は慌てて何でもないと大きく首を振っていており、思わず楓も首を振ってしまいそうになった。
森本のおじいちゃんは怪訝そうにしていたが、「まぁ早く荷物を置いておいで」と言って再び炭を睨み始めた。