煌めいて初恋
ガヤガヤとGold Rush集団が家の中へ入って行くと、急に辺りが閑静となった。
楓はパチパチと音を立て始めたバーベキュー用のコンロへ近づいた。
「わぁ!美味しそー」
網の上にはナスやニンジン、椎茸、そして色々な魚介類が並んでいる。
「まだ焼き始めたところだから、つまみ食いはダメだぞ」
森本のおじいちゃんが開きかけたホタテをひっくり返しながらそう言った。
「ふふっ、しないよそんなこと」
楓は笑いながら答えた。すると森本のおじいちゃんは、「そうだよなぁ」と言って少し笑った。
「久美枝ちゃんはよくつまみ食いをしててねぇ。まあそうだよなぁ、うん。楓ちゃんはそんなことしないもんな」
「するわけないじゃんー」
楓は能天気で何を考えているかよく分からない母の笑い顔を思い浮かべて、強く首を振った。
「でも、楓ちゃんは本当にそっくりだなあ」
「えっ、誰に?」
「久美枝ちゃん」
森本のおじいちゃんはにっこり笑った。
「えっやだー!私はお母さんみたいに能天気じゃないもん」
たまらず言い返した。
が、森本のおじいちゃんはニコニコ笑うだけで弁解してはくれなかった。