煌めいて初恋
「あーお腹いっぱい……」
楓は満たされたお腹を撫でながら、大きく伸びをした。
縁側の冷たい床が気持ちいい。
「ほんと……、かえでっち、どんだけ食べるの?」
琉矢が青白い顔でこちらを睨んでくる。
「だって美味しかったんだもん。琉矢くん達、胃、小さくない?」
くすりと笑うと、琉矢はぷい、と横を向いた。
「お前らさー、白波さんに対抗して無理しすぎ。オーバーワークって知らない?」
昴がお盆を持ってきた。お盆の上を見ると、五つの水が入ったグラスが載っている。
「うるせぇよ……」
琉矢が恨めしそうに昴を見た。
「昴は女子に食欲で負けて悔しくねえのかよ?」
「いや、別に。負けてもなんとも思わねぇよ。ていうか今回ばかりは相手が悪かっただろ。白波さん、見かけによらず大食らいだし」
昴が涼しい顔でグラスを配っていく。
「ちょっと鬼島くん、私がすごい大食いみたいに言わないでよ」
楓が口を尖らすと、昴はハッと吹き出した。
「いやー、あんだけ食べといてそれ、言う?」
楓は今日食べた肉々を思い出した。
牛肉の薄切り一キロパックを一人で食べ、野菜も皿三杯分。おまけに森本のおじいちゃん特製のたくあんを載せた白ごはんを大盛り2杯。後は……?