煌めいて初恋

「え、あれくらい普通じゃない?」


楓が聞き返すと、四人はいいや、と首を振った。


「それは楓さんだけだから」


あまり口を開かない智がそう言った。


彼もまた、楓に対抗してか、焼肉を食べすぎた一人だ。


「でも〜、昴が女子と仲良くするなんて意外だなぁ」


琳がふわわ、と可愛らしいあくびをしながらそう言った。


「えっ、そうなの⁈」


驚いて目を見開くと、昴がくすりと笑っていて、微かにドキリと胸が音を立てた。


「俺、白波さんからどういう人間に思われてるわけ?」


少し紅くなってきた頬を見せないように目線を外す。


「やー、鬼島くんのことだからモテるだろうし、彼女だって……、」


まくし立てるように言った。


何故だか言っていて、胸が苦しくなる。
鬼島くんはかっこいい人だから、そんなの有り得ない話じゃない……。
のに、


なんで?


「いないけど?彼女なんて」


昴はさらりとそう言った。


「えっ、そうなの?」


思わず目を開くと、昴が答える代わりに琉矢がヘヘッと笑った。


「昴、このメンバーの中で一番ファン多いのにな」


「そうそれ!昴なら女の子取っ替え引っ替えできるのに、告ってくる子みーんな断っちゃうからさー」


琳が呆れたように笑った。
チラリと昴の顔を窺うと、涼しい顔で水を飲んでいて、その真意は全くもって分からなかった。
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