煌めいて初恋
「あーあ、みんな寝ちゃったねー」
楓は気持ち良さげに眠る琉矢、琳、智の顔を見て、くすりと笑った。
三人とも、学校のクラスメイトの男子とはどこか違っていて、尻込みしたくなるような独特の雰囲気を持っているが、こうして寝顔を見ていると、普通の男子となんら変わりがない。
「ほんと、呆れるよ。白波さん、コイツら結構遠慮ないし、やなこと言ってたらごめん。後で言っとくからさ」
そう言いつつ、昴の表情はとても柔らかい。
「ううん、別に大丈夫。三人とも面白いし、普通にいい人だと思うよ」
ガツガツと、獣のように肉を頬張っていた三人を思い出して、またもや笑ってしまう。
「白波さん、楽しそうで良かった」
昴がにっと笑った。
眩しいくらいの日の光が目にかかって、思わず目を逸らした。
「楽しいよ。鬼島くんがいてくれるし、森本のおじいちゃんもいてくれるし、琉矢くんも、琳くんも、智くんもいて」
足を揺らした。
風が、吹き抜けた。
生温かいくて、胸がムズムズする。
「白波さん、……や、楓」
「……へ」
耳元に、低音の、透き通ったボイス。
生温かい、息。
息を吸う音。声を発した後の余韻。
胸が、尋常じゃなく暴れている。
「……、何で名前っ、」
振り向きたいような、そうでないような。
でも、絶対に振り向けない。