煌めいて初恋

「……なんで」


昴はガシガシと頭をかいた。


「別に」


そして、触れていた体がふっと離れる。


少し、悪戯心が湧いた。


「ねーえ、鬼島くん?おーい?どうしたの?」


ふふんっと笑ってやる。
が、昴は自分の顔を隠したままだ。


「なんでもない」


「きーじーまーくん?」


顔をのぞいてやろうと、縁側の蓋に手をかけた。


が、それは空を切った。


「ひっ…ひゃあっ!」


「白波さん!」


昴が変わらず苗字呼んだのと同時に、目をぎゅっと瞑った。


ドタドタッ!


痛い、と思うはずなのに、何が柔らかいものに受け止められて、体が痛くなかった。


おかしいなと思って恐る恐る目を開けると、目の前に少し顔を歪ませた昴の顔があった。


「えっ!?鬼島くん!?」


体勢を確認すると、昴の上に楓の体が乗っていて、その昴の腕は楓の体をぎゅっと抱きしめていた。


「ふひゃあ!ごっ、ごめん!ほんと!鬼島くん!」


本日二度目、いや三度目?頭がパニックになってしまった。


楓は土の地面に手をつけて、下敷きになっている昴に平謝りを繰り返した。


「ふっ……」


下から吹き出すような声が出てきて、謝るのをやめると、昴が楓の体を抱き締めたまま、大笑いしている。


「ちっ……、ちょっと、鬼島くん!何笑ってるの⁈」


「ふっ、くくっ……、あっ、ははっ!」
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