煌めいて初恋
楓は抗議を繰り返したが、昴の笑いは止まらない。そのうち、楓も笑うしかなくなってしまい、昴と笑い転げた。
後ろから当たる太陽が少し暑くて、でも、それもおかしく思えてしまった。
無邪気に笑い転げるキミ。
他に、どんな表情を隠しているの?
二人の笑い声が、空高く上っていく。
「あーあ、よく寝たぁ」
ふわわ、とあくびをする琳の声がして楓と昴はさっと体を離した。
互いに気まずいのと恥ずかしいのが混同して、目も合わせられない。
「ん?何してんの?」
琳の訝しげな声がして楓はグワっと立ち上がった。
「あっ、りっ、琳くん!起きたんだねえ!良い夢見れた?ははっ!」
なんて、謎なことを聞いてしまい、大いに後悔する。
チラリと昴の方を見ると、流石と言っていいのか、昴はさっと立ち上がって「おお、琳起きたんだ」と笑っていた。
「よく寝てたけど、体痛くない?」
「大丈夫だけど、ってか昴と楓ちゃん、何してたの?」
「別に?」
昴は何事もなかったかのように縁側に上がり、琳とじゃれあいだした。
「ほら、白波さん足汚れるよ?」
昴は普段通り、なんてことないような表情でこちらに手を出してきた。
「……、大丈夫」
楓はその手を断り、自力で縁側に上がると、そのままその場を後にした。
「え…」
昴の戸惑ったような声が聞こえてきたが、楓はそれを振り払った。
こんなにも胸が高鳴っているのはきっとわたしだけ。
何故か、心が戸惑っている。