煌めいて初恋
4章 共有して
「おーい!魚っ、そっち行った!智、そっち!足だ、足!違うってそっちじゃねー!そこそこ!行け!」
さんさんと降り注ぐ太陽に負けずと劣らない琉矢の声。
あの後、琉矢と智も照らし合わせたようにほとんど同じタイミングで起き出した。しかし夕飯にはまだ早くて、家でのんびり過ごすには勿体無いと琉矢が言い張ったので、森本のおじいちゃん家の裏山に流れる川原へ行くことにしたのだ。
楓はもう帰るつもりだったのだが、琉矢らに川原の場所に案内して欲しいと言われ、断りたいのは山々、遭難されても困るので、仕方なく付き添うことにしたのだ。
そして川原に着くなり、なにがそれほどまで心を奪ったのか、4人は目をキラキラと輝かせた。
琉矢はいいのか?いいのか?と言いながら川に早々に足をつっこみ、智は無口ながらもとても感動していたようで空を仰いでいた。琳はマイナスイオンと呟き、流石というべきか、どこからともなく取り出した小型の辞典で何やら生えている植物などを興奮気味に探し始めた。
そして昴は、そんな三人に苦笑しつつも興奮していたように見えた。
「うぉー!逃したー!くそー!」
川に足をつっこんだ琉矢には素敵な出会いがあったようで、魚の手掴みを始めた。
だが、なかなか魚は捕まえられないようで何度も逃していた。
「どうやったら捕まるんだよ!魚のくせにマジで鬼強なんだけど!」
琉矢と智は大きく肩を落としていた。
「なかなか捕まえられないだろ、生きてるんだし、お前よりもすばしっこくて小さいんだからさー。ね、白波さん」
昴の半笑いが響いた。
「昴っ笑うんじゃねー!」
琉矢の抗議の声が聞こえてきたが、昴は気にもとめない。
「まぁ生きた魚を取るのはなかなか難しいかもね」
あははと苦笑いで応える。