煌めいて初恋

昴なりの気遣いだろうか。無下にするのも悪いと思い、「ありがとう」とだけ言った。


「それにしても、Gold Rush はみんな仲が良いんだね。それぞれがお互いのことをよく分かってるって感じで。いつから仲が良いの?」


問いてみると、昴は少し照れたように笑った。


「まあ腐れ縁みたいなものだからなぁ。俺ら同じダンス教室に通ってたんだ。歳もみんな同じだし自然の一緒にいるようになって、4人でのダンスを見た芸能事務所に4人ともスカウトされてこのままって感じかな」


「へぇ。じゃあ一生の友達、って感じだね」


「一生か。それはそれで何か来るものがあるっていうか…」


うーんと昴は唸ったが、満更でもなさそうだ。


「そういえば白波さん、今日ヴァイオリン持って来てたよね?またあそこで弾くつもりだったの?」


「えっ、あうん。梅雨も明けたし、思いっきり弾きたくて」


「そっか、梅雨だと外で弾けないか」


「それもあるんだけど、湿度が高いと楽器に悪いんだよね。今日は比較的涼しいし、空気もカラッとしてるから丁度いいなって」


湿度が高いと、木が膨張して音が狂ってしまったり変形してしまったりするのだ。繊細な楽器であるヴァイオリンにとって湿度はとても致命的。人間の都合で振り回すわけにはいかないのだ。


「へえ。弾くのもだけど、楽器の管理も大変だね」


昴が感心したように頷いた。
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