ココロ〜食べなきゃ幸せになれない〜

「おはよう！」

日曜日の朝、田島楓（たじまかえで）は元気に挨拶をしながらリビングのドアを開ける。両親と弟が「おはよう」と返してくれた。

「いつもよりおしゃれなんかして彼氏とデートに行くの？」

楓の好きな卵焼きをテーブルに並べながらお母さんが言う。楓は「も、もう！やめてよ〜」と顔を赤くする。お母さんの言葉は正解だ。楓は今日、彼氏の堀田浩二（ほったこうじ）とデートする。

楓と浩二は大学の同じサークルで出会った。今まで恋愛をしたことがない楓だったが、同じアニメや漫画が好きという共通点から話すようになり、楓はいつの間にか浩二のことが好きになっていた。そしてついに付き合えるようになったのだ。

「いとこの健太郎くんもおめでとうって言っていたわ。あんたに彼氏ができるなんてね」

「ちょっと、お母さん！そんなこと教えないでよ〜」

楓は文句を言いながら卵焼きを口にする。甘くておいしい。そして次に味噌汁や魚、ご飯にも口をつけていった。お腹が満たされていくと幸せになる。