ココロ〜食べなきゃ幸せになれない〜

「私たちの食べたご飯は体を元気にしてくれます。この体の中で内臓が動くのも、体調を整えてくれるのも、ご飯を食べるからです。ご飯を食べないと人は元気になれません。綺麗にもなれません」

綺麗になれない、その言葉に楓は胸が締め付けられる。絵本の中の体はとても辛そうだった。自分の体もこんな風に苦しんでいたのかと楓は泣き出しそうになる。

「このままもしもあなたが食べることをやめてしまうと、体は筋肉も骨も弱くなり、様々な怖い病気にかかりやすくなります。そして、来年にはあなたは栄養失調で死んでしまうかもしれません」

「死ぬ……？あたし、このまま死んじゃうの？」

楓は健太郎を見つめる。死んでまで自分は痩せたいのだろうかと考えた。あれだけ大好きだった卵焼きも甘いものも食べられなくなっている。おいしい、と感じたことはここ最近ではない。

「覚えてる？親戚で集まった時、楓ちゃんはいつもおいしそうにお寿司やすき焼きを食べていたんだよ」