ココロ〜食べなきゃ幸せになれない〜

「楓ちゃんのことがずっと好きだから……」

トクンと楓の胸が高鳴る。健太郎は優しく楓の手を握った。

「困らせてごめんね。でも、楓ちゃんを拒食症に追い込むような彼氏じゃなくて僕を見てほしいんだ」

健太郎の告白に楓が言う返事などたった一つだ。浩二は心配のラインなどはくれなかった。こんな時にも、「豚になってないよな？」と言う内容のものしか送ってこない。彼への愛情は、とっくに覚めていた。

「浩二くんとは別れるよ。だって、健太郎くんのことが気になり始めているから……」

楓がそう言った刹那、ふわりと唇に柔らかいものが触れる。目の前には健太郎の顔があった。キスをされているとすぐに楓は理解する。

その後、何度も二人は唇を重ねる。その唇はどんなスイーツよりも甘く、楓の不安をかき消していった。



「楓〜！！元気になってよかった！！」

「心配したんだからね！！」

「お祝いにみんなでスイーツパーティーしようよ〜！！」

翌日、楓が健太郎に付き添われながら大学に行くと、友達がすぐに駆け寄って楓を抱き締めてくれた。