ココロ〜食べなきゃ幸せになれない〜
「健太郎くん、どうしてここに？」

「えっ？楓ちゃん！？どうしてこんなに痩せて……」

あたし、綺麗になったでしょ？と楓が訊ねようとした刹那、楓の頭がグラリと揺れた。激しい倦怠感や目眩に立っていられなくなる。

「楓ちゃん？楓ちゃん！！」

健太郎の大声を聞きながら、楓は意識を失った。



楓が目を覚ますと、心配げに健太郎が見つめていた。楓は自分の部屋のベッドの上に寝かされている。

「気がついた？急に倒れてびっくりしたんだよ」

健太郎にそう言われ、楓は「大学……」と時計を見る。もう講義が始まっている時間だ。しかし、楓が動こうとすると健太郎に止められる。

「今日は休むって連絡をしたよ。それより、楓ちゃんとはじっくり話し合わないといけないことがあるからね」

健太郎はそう言った後、かばんから何かを取り出す。それは点滴だった。楓は固まり、健太郎から離れようとする。

「楓ちゃんの家族から事情は聞いたよ。楓ちゃんは栄養が足りなくて倒れちゃったんだ。今から点滴をするね」

楓にそう優しく言い、健太郎は点滴をしようとする。それを楓は全力で抵抗し「嫌！！」と叫んだ。
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