ドロ痛な恋が甘すぎて


「ありがとうございます」


 嬉しすぎて、目の前にいるマネージャーが女神に見えてきた。
 
 俺が今まで見てきた鬼マネージャーは、幻だったのかもしれない。

 本当は心が綺麗で、穏やかで、優しい天使なのかも。


 嬉しさで飛び跳ねる心臓を感じながら、ゆるるんと俺の顔が微笑みだしたのに、再び俺の笑顔は凍り付いた。

 女魔王がギラギラと鋭い瞳で俺を睨みだしたから。


「綾星~最高の歌詞を書く自信あるんでしょうね~?」


「……え?」


 マネージャーの濁り切った目。

 マジで怖すぎ。

 口裂け女並みの不気味な笑顔。

 正直ホラーでしかない。


「酷い歌詞作ってきたら、曲自体もこの世から抹殺するから」


 抹消か……やりそう……

 このマネージャーなら、俺が書き上げた楽譜にライターの火を当てて灰にしそう。

 1ミリの躊躇も遠慮もなし。

 妖怪並みの不気味な笑顔で。


 でもこれはチャンスなんだ!

 俺のソロ。

 俺の作った曲。

 それをステージで披露させてもらえるなんて。

 
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