ドロ痛な恋が甘すぎて


 その萌えボイスと王道妹キャラで、男性ファンを虜にしている彼女は、アイドルネーム『苺』

 俺より1つ年下の高2。

 『フルフルフルーツ』というアイドルグループのセンター兼リーダー。

 俺が苦手なタイプ、ダントツ1位。


 小悪魔な甘え上手を売りに、男心を掴んでいるみたいだけど……

 『かわいく甘えれば失敗もワガママも許してもらえる』的な言動が、俺をイラつかせる。

 って言っても、こいつにも俺の本性は隠しているから、一応心のない微笑みをキープ中なんだけど。


 すでに笑顔キープが限界ギリギリ。

 早くこのスタジオから出て行けよ! 

 そう思ったのに……


「いちご、来るの遅すぎ」


 マネージャーの言葉に


「蓮見さんが言ったんじゃないですかぁ。学校が終わってからスタジオに寄ってって。一応、早足で来たんですから、ほめてくれないと、いちご泣いちゃいますよ」


 ぷくっとほっぺを膨らまし、まぶたをこするポーズ。


 ダメだ。

 マジでその顔、そのしぐさ、受けつけない。

 拒絶反応を示した俺の瞳。

 苺を視界にすら入れたくねぇ……

< 103 / 216 >

この作品をシェア

pagetop