ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

 歌い終わり、最後のコードを優しくはじいた瞬間、耳障りな声が届き現実に引き戻された。


「綾星さん!! 良い!! すごく良い!! 苺、感動して涙が出ちゃいましたぁ!!」


 オーバーに手を叩いてはしゃぐ苺。

 ギターの余韻を楽しめよって突っ込みを入れたくなったけど我慢。

 マネージャーは目をつぶったまま、大仏のように動かない。
 

「どうでしたか?」


 俺の声を聞いて、やっとマネージャーの目が開いた。


「綾星、期待以上なんだけど」


「へ?」


「やだぁ。綾星に感動させられるなんて、予想外だったわ」


 それって……

 ハイパー毒舌マネージャーが、俺の歌を認めてくれたってこと?

 うわっ、嬉しすぎるんだけどマジで。


「じゃあ次の次のライブで披露していいんですか?」


「そのことなんだけどさ……」


 なんだ?

 マネージャーのモジモジした態度。

 いつもなら魔王並みの上から目線で堂々と俺に命令してくるのに。

 3日前にも感じた。

 マネージャーの態度に、明らかに違和感をおぼえてしまう。


 その違和感が的中。
 
 次の瞬間、マネージャーの口からとんでもない言葉が飛び出した。

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