ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
「苺と組みなさい」
「は?」
「今の歌、綾星と苺のデュエット曲にするから」
「は? は?」
「今ので確信した。綾星と苺の声、絶対に相性がいい!」
なに言っちゃってんの、このマネージャー。
俺と苺が組む?
二人で歌う?
絶対無理。
100%無理。
苺は生理的に受け付けない。
声を聞くだけで、上目づかいで見つめられるだけで、耳も目も拒絶反応を起こすんだからな。
「信じられな~い!」と飛び跳ねながら喜んでいる苺。
「マネージャー……この歌は……」
「もう決定事項」
俺の声なんて聴こうともしないマネージャー。
だから、俺の意志はどうなるんだよ!!
「次の次のライブは、アミュレットとフルフルフルーツの合同ライブにして。うんうん良い、絶対に当たるわよ!!」
だから勝手に決めんなって!
「綾星、苺。明日から学校が終わったら、即行スタジオで練習するから」
何この展開は……
ライブまでの10日間、苺と顔を合わせるってこと?
俺たちが活躍する姿が、マネージャーの脳で勝手に再生されているらしい。
こういう時は何を言っても跳ね返される。100%。確実に。
「練習……明日からでいいですよね?」
とりあえず今だけは現実逃避させてくれ。
俺は急いでギターをケースに入れると、女同士の声が飛び跳ねているスタジオから逃げ出した。