ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
ほのかの想い
☆ほのかside☆


 今日のステージの綾星くんも、別人みたいだったな。

 綾星くんが私の家に来たあの日から一週間後。

 『また見に来いよ、俺のライブ……』


 帰り際に言ってくれた言葉を信じて、アミュレットのライブに行ってみた。


 ステージの上では、私と二人だけの時に見せる悪魔顔は絶対に出さない。

 優雅な微笑みで数えきれないくらいの女の子たちのハートを、キュンキュンうならせていた綾星くん。

 私にシャーベットブルー色のネックレスをくれた人と、同一人物だと思えない。


 綾星くんは、ライブ中に1回だけ私に微笑んでくれた。

 アイドル顔でニコって。

 その顔を思い出すと、なぜか胸がジリリと焦げついてしまう。

 そしてその熱が体中を巡って、私の脳をゆっくりと溶かして。


 なんだろう?

 心地いいような怖いような、両極端なこの感覚は。



 とりあえずとろけていく脳を固めなきゃと、冷えた麦茶を一気飲みし終えた時、ピンポーンとインターフォンが鳴った。


 綾星くんかな?

 わけがわからず飛び跳ね出した心臓。

 顔を綾星くんに向ければいいかわからない私の足取りは、ナマケモノさんみたいにノロマ。


 なんとかインターフォンのモニターにたどり着く。

 画面には、私の心臓を高ぶらせる張本人が映っていた。

< 108 / 216 >

この作品をシェア

pagetop