ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
グラタンを作ったことないなんて、非常識だったのかな?
でも本当のことだもん。
私に刺さる瞳が呆れ色なんだろうなって思たけれど、違った。全然違った。
予想と真逆の表情を浮かべる綾星くんを見て、私の顔まで火照ってしまう。
綾星くん、顔が真っ赤だよ。
耳まで染まってるよ。
いきなりどうしちゃったの?
「お願いしようと思っただけなんだけど……」
「え?」
「だから……俺と一緒に……グラタン作ってって……」
えぇぇぇ??
一緒に料理?
私と?
「嫌?」
テレたようにそっぽを向く綾星くんに、慌てて反論。
「嫌じゃないよ。むしろ……嬉しい……かな」
「なんで?」
「誰かと料理するの……初めてだから……」
「俺も……嬉しい……かも……」
ひょえ??
い……い……今、嬉しいって言ってくれた?
信じられない言葉に、綾星くんの顔をひょこっと見る。
恥ずかしさを隠すように、手のひらで口元を隠す綾星くん。
そんな表情しないで欲しい。
だって……
ドキドキしすぎて、手首から飛び出てきちゃうんじゃないかっていうくらい、私の脈が駆け出しちゃうから。
心臓だって病院に行かなくて大丈夫?って心配になるほど、飛び跳ねちゃうんだから。
お互いうつむいたまま、無言の時間が流れる。
「ほら、作るぞ」
自信なさげに響いた綾星くんの声。
愛想のない声色だったのに、私の心に届いた時には優しさしか感じなかった。