ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

『広瀬のアパートに行って本当のこと伝えてこい。前カノが別れてくれないって。お前が振ったの、もう2年も前だろ?』


『そうだけど……』


『蒼吾も前カノになんて、もう会いに行かなきゃいいだろ?』


『俺がいないと死ぬとか言うし。リストカットだって、未だに止められないみたいで』


 御曹司の話が耳に届けば届くほど確信に変わっていく。

 御曹司はほのかが本命だ。

 今でも大好きでたまらない。


 ほのかもだよな?

 まだ好きだよな、こいつのこと……


 ほのかが御曹司とこの店に来た日、俺ははっきりと見た。
 
 愛おしい人を見つめる、幸せいっぱいなほのかの笑顔を。


 あぁぁぁぁ、思い出したくねぇ。

 御曹司を想ってほほ笑むほのかなんて、俺の記憶から抹殺したい。


 苦しい。
 
 胸が足で踏みつけられているくらい、苦しくて痛くてたまらない。


 ここから逃げたくて。

 でも備品庫からは出られなくて。

 耳を塞ぐぐらいしかできない俺。


 両手で思いっきり耳を抑えていたのに、小さい声すら耳に届き俺の心を傷つけていく。
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