ドロ痛な恋が甘すぎて
急いでほのかの表情に目を走らせた。
泣いていたらどうしよう。
顔をゆがめるくらい、悲しい表情をしていたらどうしよう。
そう思ったのに。
ほのかはゆっくりと顔を上げると、俺に向かってとびきりの笑顔を見せた。
「綾星くん、叔母さんに伝えてくれる?」
キレイに並んだ歯が奥の方まで見えるくらい、ほのかは思いっきり笑っている。
いとこのフリをしてくれている?
「私ね、前の彼とよりを戻すことにしたの」
は?
それって本当の話なのかよ?
嘘だよな?
御曹司とまた付き合いだしたわけじゃないよな?
そう信じたいけど。
幸せそうに微笑むほのかの顔を見たら、嫌でもわかる。
ほのかの心を独占している相手は、俺じゃない。
あの御曹司だ。
「来年に結婚する予定だよって、叔母さんに伝えておいてね。それと……」
「……」
「綾星くんも、彼女さんと仲良くね」