ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

 メイク台の上に腕を乗せ顔をうずめていた時、春輝の声が聞こえてきた。


「あやあや、ちょっといい?」


「何?」


 顔をあげる気力も湧き出てこない俺に刺さる春輝の声は、地を這うように低くて重苦しい。

 どうした?


「本当にステージで歌うの? 苺ちゃんと二人で」


「当たり前。そういう段取り。歌うに決まってんだろ」


「やめてよ、歌うの」
 

「は? 今さら歌わないとかムリに決まってるだろ。もう最終リハも終わらせたんだ。スタッフに迷惑がかかる」


「じゃあ僕が頼んできてあげる。その歌、ライブで歌うのをやめてって」


「なんで?」


「大丈夫だよ。マネージャーには僕が代わりに怒られるから」


「春、スタッフに迷惑かけんな」


「だって……まだ間に合う……」


「意味わかんねぇ。リハ通りに歌うからな俺は」


 机にうずめていた顔をあげ春輝を睨みつけたけど、すぐに後悔した。

 なんだよ春輝の奴。

 なんで泣いてるんだよ。
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