ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
「もっと俺の声、聴きたかった?」
ニヤリと悪く微笑み、マンガを手に頭の上に突き出す。
「ドロ痛の最終巻を買ってくれた人にだけに特別。サインを書きながら、レイジのセリフをささやいてあげるから、よろしくな」
マイクで放った俺の言葉で、一気にお客さんが物販テーブルに押し寄せた。
今日の俺の役目は、マンガを1冊でも多く売ること。
桃華さんは、大量の人の波を一列にすることに悪戦苦闘してくれている。
ま、この人ならお任せして大丈夫か。
あとで明梨ちゃんにお礼メッセ送っとこうっと。
ステージ上に用意された長テーブルの前に座ると、マンガを買ったお客さんが順番に俺の前にやってきた。
まずは漫画にサインをサササ。
そしてレイジを降臨させる。
『ドラマ見ねぇとお前の瞳、俺だけしか映んねえようにするからな』
お客さんの耳元で、レイジ並みのドロ甘な言葉を吹きかける。