ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
「蒼吾くん、そちらの方は?」
ご婦人の問いに、言葉を詰まらせた蒼吾さん。
私のこと、なんて紹介してくれるの?
結婚相手?
そんなこと、まだ言えないよね。
会社の後輩かな。
震えているとはっきりわかる、蒼吾さんの唇。
1時間前に私の唇に触れてくれたものとは思えないほど、青ざめている。
不安の凶器に心臓をえぐられながら、やっと動き出した蒼吾さんの唇を見つめ続けた。
「この人は……いとこ……です……」
いとこ……
「そうなのね」
「はい、母方の」
蒼吾さんに……
嘘……
つかれた……
結婚相手。
恋人。
そんな答えなんて期待していなかった。
わかっているから。
次期社長の蒼吾さんは、簡単には自分の恋人を打ち明けられないって。
でも……いとこって……