ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

 机に落としていた視線を、急いで上げる。

 瞳から脳に届いた情報が、なかなか処理できない。

 視線が絡んで、やっと俺の頭が正常に働きだした。


「ほのか……」


 俺の声に、照れたように頷いたほのか。

 どうしよう、俺。

 いきなりすぎ。
 
 お客さんの視線もある。

 目の前のほのかに、どう接していいかわからない。


「あ……あの……サイン……お願いします……」


 ほのかの緊張気味の言葉に、慌ててマンガのページを開きペンを持つ。


 ずっと会いたくてたまらなかったほのかが今、俺の目の前にいる。

 夢じゃない。

 間違いない。

 本物のほのかだ。


 これでサヨナラにしたくない。

 この奇跡を繋ぎとめておきたい。

 そのためには、俺は何をしたらいい?




「ほのか……耳……貸して」


「え?」


 顔を赤らめとまどうほのかに、構ってなんかいられない。

 俺はほのかの耳に口を寄せると、悪魔モードの意地悪声を発した。
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