ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
二人の距離
☆綾星side☆


 ショッピングセンターでのサイン会が終わった俺。

 マネージャーに無理言って、家まで送ってもらった。

 だって、ほのかが来てくれるかもしれないから。

 オムライスを食べに。

 俺に会いに。



 お店の前で車から降りた瞬間、たくさんのファンの子たちに囲まれたけれど、マジでゴメン、今日だけはゴメン。

「用事があって」とファンに頭を下げ、実家の弁当屋に駆け込む。


「アヤセおかえり」


「親父ちょっといい?」


 お弁当を並べていた父親を、無理やり店の奥に引っ張り込む。


「どうした? そんなマジな顔して」


「いない? 俺に会いに来た子……」


「は?」


「だから……俺を訪ねて来た子がいないかって、聞いてるんだけど……」


 親父にこんなこと聞くなんて、恥ずかしすぎて目なんて合わせられない。

 親父のニヤニヤ声が、俺をおちょくるように飛び掛かってきた。


「何? 彼女?」


「はぁ? そんなんじゃねーし」


「お前のファンぽい子は弁当買いにたくさん来たけどな」


 はあぁぁぁ、親父に聞くんじゃなかった。

 これじゃ、ほのかが俺に会いに来てくれたか全くわかんねえじゃん。
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