ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

「蒼吾くんのお母さまは元気?」


「変わりなく」


「美香と付き合う挨拶に家族そろってきてくれて以来、お会いしてないのよね」


 
 あっ、そういうことか。


 この人は、蒼吾さんの彼女のお母さんってことか。



 私、浮気相手だったんだ……






 ご婦人の勝ち誇ったような笑顔。

 ズブズブと海の底に引きずりこまれるような息苦しさに耐えられない。



 息ってどうやってするんだっけ?

 

 心が締め付けられるように痛みだして。

 肺が空気を取り込むことを拒絶しているのが、はっきりとわかる。



 息の吐き方はわかるのに、吸い方がわからない。


 苦しい……

 苦しくてたまらない……




「私……お手洗いに……行ってきます……」




 蒼吾さんに悲しんでいるなんて思われたくない。

 なんとか笑顔を作って、声を絞り出したけど。


 口角が上がってくれたのは一瞬だけ。


 声なんて、襲われた時ようなたどたどしい音しか出てこなくて。

 ごまかすように蒼吾さんに背を向け、私はお手洗いに逃げ込んだ。

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