ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

 洗面台の前、鏡の中の自分と目が合う。



 なんてひどい顔。



 苦しくて。

 悔しくて。

 現実だと思いたくなくて。



 でも蒼吾さんを信じたくて。

 私の隣でずっと微笑んでいて欲しくて。



 いろんな感情に押しつぶされた私の顔は醜すぎて、見ていられないほど崩れきっている。

 


 ダメだ……

 涙を止めているの……

 もう限界……




 だけど涙なんて流したらダメ。

 目が真っ赤になったら、蒼吾さんの元に戻れなくなっちゃう。



 涙はダメ!

 絶対にダメ!!
 


 『出ないで』と必死に脳に懇願。

 でも素直すぎる涙腺は、言うことなんて聞いてはくれない。

 だって洗面所にいる私の耳に、二人の声が入ってきちゃうから。




『先週末も、美香に会ったんですって?』


『……はい』


『あの子の部屋、綺麗に片付いてる?』


『相変わらず、美香は片付けが苦手みたいですね』


『ごめんなさいね。そういうところ私に似ちゃって』



 彼女の部屋……

 行ってるんだ……



 それはそうだよね。

 本命だもん。
 
 私なんて1年付き合ったのに「いとこ」で片づけられちゃう、浮気相手だしね。




 さすがに辛いな。


 私じゃ蒼吾さんに釣り合わないってわかっていたけれど。

 蒼吾さんの口から紡がれた『大好き』も『結婚しよう』も、心なんて込められてなかった。

 私が勝手に喜んで、真に受けちゃった。

 そういうことだよね?

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