ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

 その言葉に、背中に感じていた温もりが消えた。


 振り向くと、うつむきながら私の洋服の裾を握りしめる綾星くんの姿が。


 ひぃえ!

 か……かかか……かわいい!


 ほっぺだけじゃなく、耳まで真っ赤。

 しかもちょっと弱ってる感じ。


 モジモジしていて。

 私から視線を逸らすようにうつむいて。

 母性本能がくすぐられちゃう。


 綾星くんのかわいさに引き込まれていると、自信なさげな声が私の耳に届いた。


「ほのかのせい……だからな……」


「え?」


「俺はこんな奴じゃなかったのに。好きな奴への想いを歌に込めるとか寝たふりしてキスするとか、マジありえないって、ほのかに出会う前の俺は思ってたんだからな」


「あ……うん」


「だからさ、責任とれよ」


「え?」


「俺の心の中、占領しまくってる責任」


 責任って、どうやってとればいいの??


「私は何を……」


「ちょっと待ってて」


 リビングを出て行った綾星くん。

 階段をドタバタ駆け上がる音がして。

 また、ドタドタ聞こえてきて。

 最後に私の前に戻ってきた。
< 191 / 216 >

この作品をシェア

pagetop