ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

 いつもマイペースな二人の驚異的な逃げ足の速さを思い出し、脱帽していると

 『骨、溶けてんじゃねえの?』

 そう突っ込みたくなるほど、ヘニャヘニャと体をくねらせた雅が、照れと嬉しさをごちゃ混ぜにした声をこぼした。



「ステージの上で明梨(あかり)ちゃんを見つけた時の俺、大丈夫だった?」


「は?」


「ちゃんと踊ってた? カッコ悪くなかった?」


「知らない。ライブの時、雅なんて見てねえし」

 

 雅がありったけの勇気を振り絞ってこの幸せをつかみ取ったから、文句言わずにノロケを聞いてやってるけど。

 本当はいつもの悪魔綾星で雅をイジリ倒したくて、ウズウズしている。



 そんな俺の軽く濁った心の声なんて、見透かす余裕がないくらい。

 目の前の雅は、大好きな明梨ちゃんに心の中が支配されていて。

 明梨ちゃん色の緑のタオルをぶんぶん振り回し、俺に届けとばかりに浮かれ声を上げた。
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