ドロ痛な恋が甘すぎて

「ほのか聞いてる?」


「え?」


 ぼーっとしたままだった。

 いつの間にか綾星くんの体温は消えている。

 つないでいた私の手を離していた。

 そしてベッドにもたれるように床に座ると、とびきりの笑顔を私に向けた。


「読むよな? 今日も」


「あっ、うん」


 私はこの時間が大好き。

 綾星くんの前に座って、後ろからギューって抱きしめてもらうぬくもりの時間が。


 急いで綾星くんのひざの間に座る。

 私の不安ごと包み込むように、綾星くんは優しく抱きしめてくれた。


「ほのか、お仕事おつかれ」


 綾星くんの温かい手が私の頭を優しく撫でる。

 何回も何回も。


 毎晩のなでなで儀式。

 気持ちよくて。

 とろんとした気持ちにさせられて。

 なぜか綾星くんに甘えたくなってしまう。

 私は甘えモードのまま、綾星くんにいつものおねだりをした。
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