ドロ痛な恋が甘すぎて


「今日は1巻がいいな」


「最初から?」


「うん」


 綾星くんの心臓の鼓動を感じながら、二人で一緒に『ドロ甘な声が痛すぎて』のマンガを読む。

 私はそのページを読み終えると、綾星くんの膝を優しくタッチ。

 そうすると綾星くんがページをめくってくれる。


 そして今日もキュンキュンしちゃうシーンで、膝をポンポンポンポン何回もタッチした。


「これ?」


 綾星くんのちょっと嫌そうな声が、私の羞恥心をくすぐる。


「ダメ……かなぁ?」


「いいけど。後でほのかからご褒美もらうから」


「うん」


 喜びを詰め込んだ私の返事の後、綾星くんの唇が私の耳たぶに触れた。


「ひゃ!」


 いつもと違うよ、耳にキスなんて。

 普段は耳元でささやくだけなのに。


「ごめん。ほのかのかわいい声、聞きたくて」


 意地悪で、でも甘い。

 私の心を簡単に溶かしてしまう声に、ドキドキさせられっぱなし。

 ドキドキの鼓動に合わせるように、私は綾星くんの膝を叩く。

< 203 / 216 >

この作品をシェア

pagetop