ドロ痛な恋が甘すぎて

「ほのか、俺ごと左に倒れそうなんだけど」


「だって……心臓……苦しいんだもん……」


「毎日レイジにキュンキュンして、ほのかの心臓、酷使しすぎじゃない?」


「レイジ君にキュンキュン?」


「そうだろ?」


 ふてくされたような綾星くんの声にすかさず反論。


「違うよ」


「何が違うんだよ」


「キュンキュンさせられてるのは……綾星くんにだよ……」


 ひぇぇぇ。

 自分の口から出た言葉なのに恥ずかしすぎだよ。

 でも綾星くんに誤解されたくない。


「綾星くんのドロ甘な声……あの……その……」


 顔を隠したくなるほど恥ずかしすぎなことを言おうとしている私。

 こんなこと言ったら嫌われちゃうかな?

 綾星くんに愛想をつかされちゃうかな?


 不安。

 恥ずかしい。
 
 でも伝えたい。
 

「なんだよ?」


 綾星くんの呆れ声に急かされ、私はめいっぱい瞳をつぶって想いを届けた。


「綾星くんのドロ甘な声を聞くと脳がとろけそうになるの……それが……気持ちよくて……」
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