ドロ痛な恋が甘すぎて







 すっごく幸せ。

 これ以上の幸せなんて、この世に存在するのかな?

 本気でそう思えるほど、今、贅沢な幸福感に包まれている。


 私の頬を包む手のひらが温かくて。
 
 頭を優しくなでなでされていて。

 布団はふかふかで。
 
 私の大好きな匂いがして。


 布団?

 ふかふか?


 五感が私の脳に訴えている。

 ここはどこですか?って。


 いきなり襲ってきた恐怖。

 慌ててまぶたをこじ開けた。


「ひゃっ!!」


 あまりの驚きに、まぶたが限界まで開く。


「起きた?」


 大好きな甘い声が耳に届き、私の脳がフル回転を始めた。

 なぜかベッドに横向きで寝転がっている私。

 目の前には私を包み込むような穏やかな笑顔を浮かべた、綾星くんが。


 対面密着するように二人で寝転がっているこの場所は……

 綾星くんの部屋のシングルベッド??
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