ドロ痛な恋が甘すぎて


 なんで? 

 どうして? 

 さっきまで私、綾星くんに抱きしめられながらドロ痛を読んでたよね?

 すっごい甘いセリフを言ってもらって。

 その後『とろけさせてやる』って言われて。

 キスされて……


 ん? んん?


 その後の記憶が全くない!!


 この状態を聞きたくて、うつむいていた顔を上げた瞬間にドキリ。

 ち……ち……近すぎ。

 綾星くんの顔。

 あと少しずれちゃえば、キスしちゃいそうなほどの至近距離だよ。


 ベッドの上。

 対面密接状態。

 しかも綾星くんの唇が目の前ときた。

 今までにない状況に、バクバクと心臓が飛び跳ねはじめる。

 
 とりあえず体を起こそう。

 綾星くんから少し離れよう。

 
 私の頬に触れていた綾星くんの手のひらをベッドの上に置く。

 起き上がろうとした時

「もう少し、このままがいい」

 いつもと違う、か細い声が耳に届いた。

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